ポーカーのヘッズアップとは?ルール・基本的な戦略を初心者向けに解説

blank

5枚のカードで強い役を作って勝利を目指すトランプゲームポーカー」では、テーブルに複数人のプレイヤーが参加して勝負が行われます。

一般的なテーブルでは5人〜10人ほどのプレイヤーが参加しますが、トーナメントの終盤戦など、場合によっては人数が少ない場合もあります。中でも、1対1で勝負する形式を「ヘッズアップ」と言います。

ヘッズアップの勝負では、一般的なポーカーゲームと比べてルールや戦術が全く異なるため、「ヘッズアップならではの戦略」が求められます。

そこでこのページでは、のヘッズアップについての説明や、一般的なルールとどう違うのか、またヘッズアップの基本的な戦略について解説します。

ベルアイコン

Bell

(ウィナーズクラブ管理人)

ヘッズアップでは通常のポーカーとは大きく異なる戦い方が求められます。ヘッズアップの経験が少ない初心者の方も、このページを一読してヘッズアップの基本的なルール・戦略に触れてみてください。

この記事のまとめ

  • ヘッズアップとは1対1で勝負する形式のこと
  • カードの配り方やアクションの順番といったルールが通常とは異なる
  • ヘッズアップではアグレッシブに勝負するのが大原則!
ベルアイコン

この記事はおよそ 7分 で読むことができます。時間がない方は目次を活用しましょう

目次 開く
ポーカーのヘッズアップとは?
ヘッズアップのルールと特徴

カードの配り方が通常のポーカーとは異なる
アクションの順番が通常のポーカーとは異なる
手札によるヘッズアップの勝率

ペアの勝率
ペア以外のハンドの勝率
ヘッズアップは運ゲー?:使える基本戦略

戦略①:自分の強さを予想する
戦略②:アグレッシブに攻めるべし!
戦略③:アクションを使いこなす
戦略④:カードのランクが重要
ヘッズアップのハンドレンジ

SBのハンドレンジ
BBのハンドレンジ
3ベット、4ベットが入ったときのハンドレンジ
ヘッズアップを練習するには
まとめ:ヘッズアップで勝つには運・経験・戦略すべてがものをいう

ポーカーのヘッズアップとは?

ポーカーのヘッズアップとは?

ヘッズアップとは、英語で「1対1」を指す言葉です。頭をあげて注意する必要がある、という意味があり、「注意すべき気を抜けない局面」というニュアンスで使われています。

ポーカーではヘッズアップになる局面がいくつかあります。トーナメントの優勝決定戦、シットアンドゴー(3人で行うミニトーナメント)での勝者決め、プリフロップで2名を残して全員がフォールドした時、などの場面がヘッズアップと呼ばれます。

以降の解説では、トーナメントの終盤戦などのように、「最初から参加するプレイヤーが2名しかいない局面でのヘッズアップ」について説明します。

なお、通常のポーカーの基本的なルールについては下のリンクから確認することができます。

関連記事
blank

ポーカー(テキサスホールデム)のルール・遊び方を初心者に分かりやすく解説

2023年に行われた最高峰のポーカーイベント「ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー(WSOP)」では日本人が多数入賞するな…

ヘッズアップのルールと特徴

ヘッズアップポーカーは、ルール自体は変わらないのですが、以下のような点が異なります。

  • BTN(ディーラーボタン)のプレイヤーとSBのプレイヤーが同じポジションになる。
  • SBとBBをそれぞれどちらかのプレイヤーが担当するため、毎回ブラインドを支払う必要がある。

BTN(ディーラーボタン):ディーラーの位置を担うポジション(実際のディーラーとは異なる)

SB(スモールブラインド):ブラインド(参加費)の半額を支払うポジション

BB(ビッグブラインド):ブラインド(参加費)を支払うポジション

特に最初の「BTN=SB」というルールが少し分かりにくいため、以下で詳しく解説します。

カードの配り方が通常のポーカーとは異なる

カードの配り方が通常のポーカーとは異なる

カードが配られる順番は、普通はSB→BBという順になりますが、

「カードの順番はBTNが必ず最後になる」というルールを優先するため、BBの方が先にカードが配られることになります。

SBとBBは毎回交代するので、1回ごとに順番が入れ替わるということになります。

アクションの順番が通常のポーカーとは異なる

アクションの順番が通常のポーカーとは異なる

最も気をつけておきたいのはアクションの順番です。の基本ルールでは、アクションが始まるのは「BBの左隣(UTG)」からなのでプリフロップのアクションはSBになります。これはヘッズアップでも変わりません。

しかし、フロップ以降のアクションについてはBTNが最後になるというルールを優先するため、フロップ・ターン・リバーのアクションはBBが先になります。

そのため、有利なポジションはBBではなくSBと言えるでしょう。BBは主導権を握るのが難しくなるため、強いハンドであればしっかりと3BETを打ち返すことが求められます。

UTG(アンダー・ザ・ガン):BBの左隣のポジション

3BET:相手のレイズにレイズすること

4BET:相手のリレイズにレイズすること

手札によるヘッズアップの勝率

多人数で行うポーカーと異なり、はある程度のハンドであってもかなり高い勝率を誇ります。そのため、むやみにフォールドせず、強いハンドであればしっかりとゲームに参加し、3BET・4BETを打っていくのが大事です。

そこで、実際の戦略を解説する前に、次の項目ではヘッズアップの勝率について説明します。

ペアの勝率

AA 85% TT 75% 66 63% 22 50%
KK 82% 99 72% 55 60%
QQ 79% 88 69% 44 57%
JJ 77% 77 66% 33 53%

端数切捨て。

ペアの場合、どのハンドであっても5割以上の勝率があります!

最強の「AA」ハンドであれば勝率は驚異の85%、最弱の「22」でも50%以上の勝率があります。2ペアは9人でのポーカーの勝率が10%そこそこなので大抵フォールドされますが、ヘッズアップになると心強いハンドと言えるでしょう。

ペア以外のハンドの勝率

AKs 67% KTs 61% A7 59% A6 57%
AQs 66% KQ 61% QJ 58% Q8s 56%
AJs 65% A7s 61% A4s 58% K6s 56%
AK 65% QJs 60% K8s 58% K8 56%
ATs 64% KJ 60% A3s 58% J9s 55%
AQ 64% K9s 60% K9 58% JT 55%
KQs 63% A6s 60% JTs 57% K5s 55%
AJ 63% A9 60% Q9s 57% Q9 55%
A9s 63% A8 60% QT 57% K7 55%
KJs 62% QTs 59% K7s 57% A3 55%
AT 62% KT 59% A2s 57%
A8s 62% A5s 59% A5 57%

端数切捨て。

s:同じスーツ(絵柄)の意味。

続いて、ペア以外のハンドのうち、勝率が55%以上ある手札をピックアップしています。例えば「AKs」はAとKがスーテッド(=スートが同じ)であることを表し、「AK」とsが付いていないハンドについてはスートが異なる組み合わせであることを表します。

こう見ると、かなりのハンドで勝率が55%以上あることが分かります。「A」を持っているハンドは「A2」を除き勝率が全て55%以上! また、10以上の組み合わせのハンドについては全種類55%以上となっています。

そのため、AやKなどの強いカードが1枚でもあれば、積極的に勝負すべきと言えます。

ヘッズアップは運ゲー?:使える基本戦略

ヘッズアップは運ゲー?:使える基本戦略

よく、「ヘッズアップは運ゲー」と言う人がいます。確かに、1回ごとに配られるハンドには絶対的な差がありますし、正しいプレイをしても負けることがあり、セオリーと異なるプレイをしても勝つことがあります。それではヘッズアップは本当に運ゲーなのでしょうか?

結論から言うと、「ヘッズアップポーカーの方が技量の差が出る」と断言できます。確かに勝負が決まる瞬間(=オールインしたプレイヤーが負ける瞬間)は運ですが、自分が不利に追い込まれない、また有利になるための戦略は非常に多いです。

参加人数が多いほどプレイヤーはセオリー通りに打つしか無くなるので運ゲーになりやすいのですが、ヘッズアップでは様々な戦略を1対1で利用できるため、ヘッズアップは最もまぐれで勝ちにくい勝負と言えるでしょう。

そこで、続いての項目ではヘッズアップ戦略を解説します。

戦略①:自分の強さを予想する

自分の強さを予想する

ヘッズアップでは、相手が1人しかいないので、自分のハンドが「相手より強いかどうか」だけ予想すればOKです。この予想の場合、かなりのハンドでゲームに参加することができます。

例えばポケットペアの場合全て勝率は50%以上ありますし、AやKを持っているハンド、スーテッドのハンド、数字が連番のハンドなども勝率がかなり上がります。

まずはヘッズアップにおけるスターティングハンドの勝率を把握し、自分がどれくらい強いのかを予想しましょう。

戦略②:アグレッシブに攻めるべし!

アグレッシブに攻めるべし!

ヘッズアップポーカーでは最初にブラインドを支払うので、「参加しない方がお得になる」と言うケースはあまり多くありません。最初からガンガン勝負することをおすすめします。

特に、SBのポジションを持っている場合、ほとんどのハンドはオープンベットを行うことが推奨されています。SB側は有利なポジションなので、積極的に参加したい場面と言えるでしょう。

また、BBのポジションを持っている場合も参加すべきレンジは広く、特にポケットペアやスーテッドなどの場合は3BETを積極的に行うと良いでしょう。フロップ以降の勝負は主導権が取りにくいので、大きく3BETを打って相手を降ろすと言う戦略が重要です。

戦略③:アクションを使いこなす

アクションを使いこなす

多人数のベットでは一人ひとりのプレイを注意深く見ることが難しいので、よほどのフィッシュだったり珍しいアクションを行うプレイヤーくらいしか印象に残ることはありませんが、ヘッズアップポーカーは相手の一挙手一投足を見ることができます。

そのため、「この人、強い手の時はチェックした後レイズかけてくるな」といったような傾向が読まれてしまうと簡単に対応されてしまいます。

対応策としては、機械的に「このハンドはこうアクションする」と決めるのではなく、最適戦略をあまり外れない範囲でアクションを散らして対応すると良いでしょう。

逆に言うと、相手の傾向を掴むことができれば勝利は目前と言えます。相手の癖を分析するのは非常に大事です。

初心者におすすめ:SBのオールイン戦略

ヘッズアップポーカーで負けが込むとスタック(持っているチップの量)が減ってくるため、オールインを行うことが多くなります。

スタックが少なくなってきた場合、「プリフロップでオールインかフォールドをする(Open Shove)」と言う戦略が最も王道と言われています。

オフスートならK以上のカードを持っているか両方9以上、スーテッドならQ以上のカードを持っているか両方5以上、もしくはポケットペアの場合、元気よくオールインをすると良いでしょう。

これに対してBBがコールをガンガンしてくるならオールインのレンジを狭めて、フォールドが多いならもっと積極的にオールインするのがおすすめです。

初心者におすすめ:BBの

最近はSBの場合どんなハンドでもレイズを仕掛けるプレイヤーが多くなっています。このSBにどう対応するのかと言うのは数々の戦略があるのですが、初心者の方におすすめなのが「特定のハンドでリレイズオールインをする」という戦法です。

SBのレイズに対し、BBはAを持っているかポケットペアの場合はリレイズを仕掛けます。この時、2BBのレイズであれば25BBくらいならオールインしてもOKです。レンジを絞ってあるので、勝率がとてつもなく低くなることはあまりありません。

BBはどちらかというと不利なポジションなので、SBの動きを止めると言うのも大事な戦略です。

ブラフを活用

ヘッズアップはアグレッシブに戦うことが求められます。また、SBもBBもハンドレンジが広いので、比較的弱いハンドでも参加頻度は高いです。そのため、チェックばかりしていてはショーダウンで負けるケースが多くなります。

そこで、ブラフを活用して相手を降ろすという戦略が非常に重要です。もちろんそれは相手も同じなので、ブラフを高頻度で打ってきます。自分のハンドの勝率が高いと踏んだら、3BETを打ち返して勝負すると良いでしょう。

戦略④:カードのランクが重要

弱いハンドで勝負することが多いので、ハイカード同士の決着というのも起こりやすいです。この時重要になってくるのが一番強いカードです。

ハイカード同士の決着は最高ランクのカードによって決まるので、とにかくAを持っていたらヘッズアップポーカーではかなり有利になります。ヘッズアップでは、Aを持っていたらとにかく積極的にプレイしましょう。この戦略を「エニーエース(Any Ace)コンセプト」と言います。

ヘッズアップのハンドレンジ

どのハンドでゲームに参加すると良いか、という最適戦略を「ハンドレンジ」と言います。ヘッズアップのハンドレンジについて、SB・BBそれぞれで見ていきます。

なお、赤色はレイズ、緑色はコール、青色はフォールドです。

SBのハンドレンジ

SBのハンドレンジ

SBはほとんどのハンドでオープンレイズを行いましょう。ポケットペア・スーテッドならほぼ全部、オフスートでも2〜4のカードがないハンドなら積極的にレイズを仕掛け、それ以外ではコール(リンプ)をせずにフォールドします。

BBのハンドレンジ

BBのハンドレンジ

BBはSBほどではありませんが、積極的なプレイが求められます。特にポケットペアや大きい数のスーテッドであれば、相手のレイズに対して3BET(リレイズ)を行いましょう。

3ベット、4ベットが入ったときのハンドレンジ

続いて、3BETが入った時のSB、4BETが入った時のBBのハンドレンジについて解説します。3BETは相手のレイズにレイズすること、4BETは相手のリレイズにレイズすることを指します。

3ベットが入ったときのSBのハンドレンジ

3ベットが入ったときのSBのハンドレンジ

BBから3BETが入った場合、オフスートの場合は強いカードの組み合わせ以外はフォールド、スーテッドの場合は大体コールを行います。

また、T以上のポケットペアやAK・AQなどのプレミアハンドの場合、4BETを打っていきましょう。

4ベットが入ったときのBBのハンドレンジ

4ベットが入ったときのBBのハンドレンジ

もし4BETが打たれた場合、相手のハンドは大抵プレミアハンドかポケットペアです。

オフスートではほとんどの場合フォールドですが、スーテッドはそこそこの確率でコール、自分もプレミアハンドやポケットペアの場合はオールインで勝負しましょう。

ヘッズアップを練習するには

ヘッズアップを練習するには

ヘッズアップを練習するには実践が一番ですが、ヘッズアップを極めるのはかなり難しいとされています。そのため初心者の方はヘッズアップのマスターより先に、多人数が参加するポーカーのセオリーを覚えるのが最も大事です。

ポーカーのセオリーを覚えたい場合は、オンラインポーカーオンラインカジノで遊べるをご利用ください。

関連記事
blank

オンラインカジノのおすすめランキング!初心者必見の失敗しない選び方

を運営している会社は数多く存在しており、遊べるは数えきれないほど膨れ上がっています。その全てを自力…

本格的に勉強したい!という方におすすめなのが「 GTOWizard」です。「GTO戦略」を覚えることで、その場の最適な戦略を学ぶことができるようになります。

月額料金は44ドル〜(6,500円)とそこそこ高めですが、その分キャッシュゲームなどで勝てるチャンスが広がります。

まとめ:ヘッズアップで勝つには運・経験・戦略すべてがものをいう

ヘッズアップポーカーは、運だけで勝つことは到底不可能です。知識・経験・戦略全てに長けたプレイヤーでないと、ヘッズアップを勝ち切ることはできません。

初心者の方にはヘッズアップの戦略はかなり難しいですが、一番大事なのは「積極的に参加すること」です。

9人いると勝率が10%ほどしかないハンドでも、ヘッズアップなら十分戦えます。最後はオールインで決着が付くので、恐れずに大きく賭けていきましょう!